A:次のような利点があります。
1. | 分析感度が極めて高く,かつ前処理などにおける試薬や雰囲気による試料汚染の影響を受けないため,超微量分析が可能です。多くの元素を10-8g/g以下(ppbレベル)まで測定することができます。 |
2. | 通常の分析方法では溶解が困難な試料を分解せずに測定することも可能であり,測定後の試料を他の目的に使用することもできます。 |
3. | 同時多元素分析も可能です。 |
4. | 試料は固体でも液体でも,また少量でも良く,また化学形態による制約はありません。 |
5. | 照射後に化学操作を行っても,他の元素分析方法で問題となるような試薬から目的元素が混入することによって生じる測定結果の系統誤差の心配はありません。 |
6. | 化学的に類似する元素が共存しても妨害になりません。 |
7. | INAAでは複雑な化学操作を必要としません。 |
8. | k0法では,定量目的元素と同じ種類の元素を含む比較標準試料を準備する必要がありません。放射化分析法を含め,多くの元素分析法では未知試料の元素組成を求めるためには,定量目的元素と同じ種類の元素を含む比較標準試料を準備する必要があります。k0法と呼ばれる分析方法は,ある標準となる元素(主として金)を決めて,その元素に対する生成放射能の相対値となる係数を求めておけば,その標準元素を未知試料と同時に照射して測定すれば,他の元素についても予め求めてある係数から定量値を計算することができます。その標準元素を未知試料と同時に照射して測定すれば,他の元素についても予め求めてある係数から定量値を計算することができます。この方法は照射場と測定条件に依存するので,利用するためには,それぞれの照射施設で係数を予め求めておく準備,定量値を計算するためのプログラムなどが必要となりますが,ヨーロッパを中心にかなり普及しています。日本でも照射施設などで整備が進められています。 |