Q. 放射化分析法とは?
A.

 放射化分析法は多元素同時微量分析法の1つで,分析したい試料を放射化(放射性核種をつくること)し,放射線を測定することにより,元素の定性・定量分析を行う方法です。分析試料に含まれている各元素に特有の放射性核種がその元素濃度に比例した量生成するため,この放射性核種から放出される放射線を測定(エネルギーと数)することで,元素の定性・定量分析を行うことができます。

 放射化には核反応を用います。中性子,荷電粒子(陽子,α粒子),光量子(高エネルギーのX線)などをもちいて,核反応を誘起します。この利用する粒子によりそれぞれ,中性子放射化分析,荷電粒子放射化分析,光量子放射化分析と呼ばれます。これらは,核反応により生成した放射性核種からの放射線を測定しますが,核反応の過程で放出されるγ線を測定する方法もあり,これを即発γ線分析法と呼びます。用いる核反応により分析の得意な元素が異なります。なかでも,放射化分析の施設や設備が整っている,一度に数多くの利用者が利用でき,数多くの試料の分析が行えるなどの利点があるため,中性子放射化分析が一番良く利用されています。

 通常,放射性核種から放出されるγ線を測定します。γ線は透過力の強い放射線なので,放射化した試料をそのまま測定器で測定することができます。これを非破壊放射化分析法(または機器的放射化分析法)と呼びます。一方,放射化後,分析試料から対象元素を化学分離後,放射線測定することもあります。これを放射化学的放射化分析法と呼び,非破壊法よりも高感度な方法です。